変化するワタミは社会との共創を目指す

2016.12.13

タグ:
CSV
インタビュー
変化するワタミは社会との共創を目指す

居酒屋チェーンを展開するワタミと聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか? 企業体質や労働環境への批判を思い起こす読者も少なくないかも知れません。しかし、経営危機まで囁かれたワタミはいま本気で変わろうとしています。その変化とはどのようなものなのでしょうか? そこには多くのNPOが取り組む社会変革との交点が見えて来るのです。

 

きっかけは「生搾りサワー」


広報岡田様

広報・CSR部部長 岡田様

 

――先日の業績回復がネットでも話題です。一部には「ワタミ」というブランドを隠したことに効果があったのだといった声もありますが。

 

岡田:そのようですね(笑)。ただ私たちは、お客様のニーズにいかに応えられるか、それが業績回復の一番の鍵と考えています。今は、都市部を中心にお客様のニーズが多様化しています。「和民」「坐・和民」から転換した「三代目 鳥メロ」、「ミライザカ」というブランドはおかげ様で好調なのですが、メイン商品を明確にし、お客様の「目的来店型」のニーズに応えられた店舗がご好評を頂いているのだと考えています。

 

――なるほど。たしかに他の会社でも会社名と外食チェーンのブランド名が異なることは珍しくありません。そんなワタミがいま、有機農業や廃棄物の再資源化や食品残渣の肥料化などに取り組む「有機循環型モデルタウン」といった事業を進めているのは、どういった背景があるのでしょうか?

 

広報芦野様

広報・CSR部担当課長 芦野様

 

芦野:もともとワタミは「外食」からはじまった会社ですが、「お客様に提供するものは、自分たちが自信を持って提供できるものにしたい」という思いから、素材となる野菜や果物は、できるだけ農薬を使わずに栽培したものにしよう、そのために自分たちで農業を手がけるということを2002年からはじめています。またそれに伴って、店頭での提供品質を高い水準に保ち、しかも手作り感をもたせるべく、加工工場も自らで運営するようにもなりました。

 

岡田:自社農場の面積は全国あわせると約632ヘクタールに及び、これは法人として国内最大規模ではないでしょうか。しかし、アンケートを採るとワタミが農業をやっていることを知っている方が10%くらいしかおられないのです。食品表示に関する規制や、季節や天候、産地による変動から、店頭で「有機農業をやっています」とは謳いにくいという事情もあるのですが。

 

――ワタミは、国も推進する農業の「6次産業化」にも積極的だとされます。

 

岡田:農業は第一次産業に分類されていますが、その生産だけでなく、第二次産業である加工、流通・販売といった第三次産業も生産者自らが手がけることによって、1×2×3=6の6次産業化を計ろうというものですね。そこに、ワタミは「環境」や「リサイクル」という取り組みを組み合わせています。

例えば、地元企業様と一緒に風車を建設し、風力発電に取り組んだり、自社の加工工場の屋根を利用して太陽光発電を行っています。事業を行う以上、環境に全く負荷を及ぼさないというわけにはいきませんが、それを少しでも軽減したいと考え、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。また、発電だけでなく、電力小売事業にも取り組んでおり、本社ビルはじめ、各事業拠点で使用する電力を切り替えています。まもなく、供給する電力の約3分の1が、再生可能エネルギーによってつくられた電力になる予定です。今後もこの比率をさらに高めていこうと考えています。

リサイクルに関しては、工場で出た生ゴミを堆肥にして、自社の農場で利用し、有機農業を進めるという循環の実現に向けて動いているところです。

 

――まとめると自社農場を持ち、それをきっかけに加工工場も運営するようになり、農場→加工→店舗というバリューチェーンを自前で備えるようになった。そのバリューチェーンのなかで、エネルギーの循環も図れるようになってきた、というイメージですね。

 

岡田:そうですね。最初はホントちょっとしたところから始まっているんです。「和民」の前身って「つぼ八」なんですけど、当時は、レモンをお客様自身で絞って頂く、「生絞りレモンサワー」が人気商品だったんです。さらに、絞ったあとのレモンをそのままジョッキに入れて飲んでいるお客様が結構おられたんですね。

 

当時オーナーだった創業者(渡邉美樹氏)が、その様子を見て、「果物は外国から輸入した物だし、農薬が心配だよね」ということで、1個1個レモンを洗ってから提供するようにしていたのです。農薬を使用していない物を仕入れようとすると、価格は2倍~3倍になってしまう。であれば、自社で作るところからやってみようか、というのが有機農業を始めたきっかけでした。いまでは、それが林業や再生可能エネルギー事業、それに伴って地方自治体や企業との協業まで拡がっています。

 

ピンチをチャンスに―NPO協業にかける期待


 

新しい社名ロゴを背景に

新しい社名ロゴを背景に

 

――我々からみると「居酒屋」という店舗の印象が強いのですが、そこに至る産業構造そのものを構築されていることがよく分かりました。

 

岡田:今年5月には社名ロゴをはじめとしたCI(コーポレート・アイデンティティ)の刷新も行いました。ワタミは数年で急速に社会的批判、業績不振に直面しました。それらの理由と要因にしっかり向き合おうと考えたのです。私たちが大切にしている会社のスローガンは「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というもので、人と人、心と心を通わせるビジネスに特化してきたという自負があります。テクノロジーが進化してもそれは中心に置きたい。そこを起点に環境や人に優しい、持続可能な社会作りに貢献したい。そういった思いのもと、「人とともに地球とともに」というミッションを、改めて現経営陣のもと設定したのです。総合居酒屋から食の総合企業へ、改めて「食」を真ん中に置いた企業として、原点回帰と再出発を誓いました。

 

――社会からの批判に向き合う、という意味では「働き方」も変化していますか?

 

岡田:そうですね、社内の研修や仕組みを見直してきました。例えば研修や会議の効率を見直し、頻度や時間帯を変えるといったことですね。会議は以前に比べて3分の1に回数を減らしました。店舗についても定休日を設けたり、深夜営業を見直したり、また、女性中心の働き方プロジェクトということも進めています。

 

――なるほど。お話しを伺うとワタミのイメージがずいぶん変わります。今回Co-CreAction(コクリアクション)に参加され、NPOとの共創お題を出されているのも、ここまで伺ってきたようなワタミが進めてきた変化と関連するものなのでしょうか?

 

岡田:ワタミには創業当時から、NPOとの協力やボランティアに前向きに取り組もうという企業文化があります。Co-CreActionについても、NPOならではの専門分野に特化した、私たち企業側ではなしえない提案・発想があるはず、と期待しています。

 

芦野:いま「お題」としては以下のものを出しています。

 

地域包括ケアシステムの構築に寄与する楽しいイベントを私たちと一緒に企画・運営してくれるNPOさん大募集です★

【募集中!】地域包括ケアシステムの構築に寄与する楽しいイベントを私たちと一緒に企画・運営してくれるNPOさん大募集です★

 

【募集中!】地域の高齢者にまごころ込めたお弁当をお届けしたい!そんな仲間を集めてくれるNPO大募集★

【募集中!】地域の高齢者にまごころ込めたお弁当をお届けしたい!そんな仲間を集めてくれるNPO大募集★

 

【募集中!】女性やシニアの方にも活躍してもらえるお店づくりに協力してくれるNPOを募集!

【募集中!】女性やシニアの方にも活躍してもらえるお店づくりに協力してくれるNPOを募集!

 

【募集中!】ワタミで働く外国人スタッフ支援をしてくださるNPOを募集!

【募集中!】ワタミで働く外国人スタッフ支援をしてくださるNPOを募集!

 

CIについてご紹介させていただいたように、「人と人」「心と心」がつながるビジネスをわたしたちは展開していることもあり、外国人や高齢者の方が働きやすい環境作りについて、是非お知恵やお力を貸して頂きたいと考えています。具体的には、言葉・慣習・バリアフリーといった分野に期待しています。また今回のCo-CreAction向けのお題に関わらず、環境や地域創生といった課題でも何か一緒にできないか、といったご提案があればいつでもウェルカムです!

 


 

いかがでしたでしょうか? ワタミに限らず企業にとってピンチはチャンスにも転じうるものです。もともとNPOとの取り組みに積極的であったワタミが、変化の速度を加速させようとするなか、NPOにとってもチャンスが拡がっているのではないでしょうか。

TOPに戻る

参加企業様

2018年

株式会社エイジス 株式会社折勝商店 首都高速道路株式会社 株式会社東急スポーツオアシス 株式会社東急不動産R&Dセンター
株式会社東急リゾートサービス ハウスウェルネスフーズ株式会社 ハウス食品グループ本社株式会社 株式会社リジョブ

2017年

ワタミ株式会社 株式会社ディライトクリエイション 株式会社東急不動産次世代技術センター 株式会社エイチ・アイ・エス アデコ株式会社

2016年

日本たばこ産業株式会社 太陽ホールディングス 帝人フロンティア・旭化成アドバンス 東急不動産株式会社 エコッツエリア

協力

NPOサポートセンター 朝日新聞メディアラボ オルタナS 三井不動産株式会社

後援

経済産業省

Co-creactionを応援して盛り上げよう!

ページトップへ